風量アップで冷却アップ
私のスクーターはAF27型スーパーディオです。今では珍しい空冷2ストロークマシンです。
排気量は50ccしかなにのに、胸のすく様な加速をしてくれるためオフロード耐久レースにはこのマシンで参加しています。
エンジンがノーマルでも持っているパワーを一番発揮出来る様に、キャブレターのセッティングとプーリーの交換とウエイトローラーの調整を行っています。
その反面、発熱が大きくて熱ダレを起こしやすいのが難点でもあります。(タレるとも言います。)
熱ダレの症状とは
長い上り坂をアクセル全開で上り切った後に一旦アクセルを戻します。エンジンは熱々の状態です。
その後、再びアクセルを開けて加速しようとするとエンジンの回転が上がらずモタついてしまいます。ある程度スピードが乗っていればまだマシなのですが、0発進に近い状態まで速度が落ちてしまうとかなりモタついてしまいます。
気温が低い時やエンジンが熱くなり過ぎる前だとこのモタつきは発生しません。
更に、スクーターを停止するとエンジンも停止してしまったり、再始動が困難な状態になってしまいます。でも、しばらく置いて冷めれば普通に始動出来る様になるのです。
これがあまりに酷いとエンジンが焼き付いてしまって再起不能になってしまいます。
熱ダレ対策その1
キャブレターの調整で燃調をギリギリまで濃くしてみたり、下り坂やタイトなコーナーでもアクセルを完全に閉じることなく燃料を送り続けます。その分ブレーキでスピードコントロールして対応します。
燃料が送り込まれる事でも冷却する効果があるためですが、慣れないと難しいですし、ブレーキや駆動系にかかる負担も大きくなってしまいます。
熱との戦いは空冷2ストロークエンジンの宿命ですね。
熱ダレ対策その2
対策その1だけではどうにもならない場合、クーリングファンを高効率な物へと交換しましょう。
今回交換したのはKN企画さんで販売されているクーリングファンです。
左の真っ黒いのが新しいクーリングファンで、右のが純正クーリングファンです。
純正の物は羽の保護のためでしょうか?丸いカバー状の物で覆われていてファンが丸見えにはなっていません。
・羽の枚数は純正18枚に対してKN企画さんのファンは20枚です。
・羽の大きさは純正の方が大きく見えますが、表面が丸いカバー状の物で覆われているため風量で少し不利なのではと思います。
・純正のファンは135gです。(取り付けネジ4本も含めて)
・KN企画さんのファンは115gです。(軽量化のため取り付けネジは2本になります。)
たかが25gの差と思われるかもしれませんが、回転軸に付いている物が25gでも軽くなるとレスポンスが良くなるはずです。
クーリングファンの交換方法
AF27型スーパーディオの例で交換方法を紹介したいと思いますが、他のスクーターでも空冷マシンならほぼ同じ様な方法で交換可能ですのでぜひやってみてください。
エンジンカバーを外す
エンジンカバーというかファンカバーというか、スクーターのエンジンは皆この様にカバーがかかっています。
AF27型の場合、上下2本のボルトで止まっていますので外しましょう。
8mmのボックスレンチを使いました。
次に、カバーの奥に点火プラグがありますのでキャップを外しておきます。
エンジンカバーを手前に引っ張りながらめくり上げれば外れてしまいます。簡単です。
カバーが外れるとエンジンのシリンダーとシリンダーヘッドが見える様になります。その下にクーリングファンがあります。
クーリングファンは4本のネジで止まっていますので8mmのボックスレンチを使って外しましょう。
ファンを手で押さえてネジを回せば良いです。
純正のクーリングファンが外れたらKN企画さんのクーリングファンに交換です。付属のネジ2本は頭が大きかったので、外した純正のネジ2本を使って取り付けました。
8mmのボックスレンチを使ってしっかり締めておきましょう。
※軽量化のため、ネジは2本で止めます。
新しいクーリングファンが付いたらエンジンカバーを戻して点火プラグのキャップをはめましょう。
これでクーリングファンの交換は完了です。
後日追記
発電コイルを痛めない様に注意
実は、もう一台所有しているAF27型スーパーディオにも同じクーリングファンを取り付けマシたが、エンジンがかからなくなってしまいました。
原因は純正の長いネジを使って取り付けたため、発電用コイルに接触してしまい、発電機を壊してしまったのです。
わずかに長かったために損傷させてしまいました。
点火プラグで火花が飛ばなくなってしまったため、CDIの故障やイグニッションコイルの故障を疑って、動いているエンジンから部品を外して交換してみましたがどうしても火花が飛ばず、エンジンがかかりません。
直前に行った作業を思い出し、まさか発電機を壊したかも?と気がついて開けてみたらご覧の通りでした。
素直に新しいクーリングファンに付属のネジを使っておけば良かったと後悔。
結局予備のエンジンから発電用コイルを移植してエンジンが復活しました。予備のエンジンがあって良かった。
ついでに発電機をクリーニング出来たので、何だか前よりエンジンのかかりが良い様に感じます。いつかやろうと思っていた事ですので良かったのですが、原因究明から修理完了までに半日かかってしまいました。
※ネジの長さに注意しましょう。
クーリングファン交換の効果
まずはエンジンをかけてアイドリング状態で空気取り入れ口からの吸い込み状態を感じてみました。
明らかに吸い込み量が増えているのがわかりました。これは期待できそうです。
いつもの様にオフロード練習場を走り回ってみました。
すごいぞKN企画さんのクーリングファン。
いつもだったら熱ダレ症状が出てしまうのですが、今日は出ませんでした。散々走り回った後にクルッとアクセルターンも出来ちゃうほどで、全くヘタレがありません。
熱ダレ状態だとアクセルターンは出来ないのです(笑)
クーリングファンの交換まとめ
実は、KN企画さんのクーリングファンの前に「違うクーリングファン」も試してみました。結果は全然ダメで、純正のクーリングファンよりも早く熱ダレが来てしまい、再始動も困難な状態にまで陥ってしまったのです。
社名は伏せておきますが、一応風量アップとか高効率!などと書いてある物です。
今回はダメだった物も買って、純正品とKN企画さんの物と比較出来たのでどれが効果的か良くわかったのですが、派手な色に惑わされない方が良いという結果です。
数値的なもので比較するのは難しいので、同じコースを走り回っての結果発表となりました。
マシンのセッティングや個体差もあろうかと思いますが、私のスクーターはKN企画さんの軽量強化クーリングファンで決定です。