水が入って白濁した作動油

私の家にあるバックホウは三菱ME30という古い機械です。

親父が中古で買ってきたものなのですが、ある問題を抱えていました。
それは、作動油の濁り。全体が白く濁っているのです。

作動油白濁の原因

おそらく水が入ってしまったと思われます。

ある日、作動油の補給口のネジが6個中3個位しか付いていなくて、しかも締めてない事に気がつきました。
親父が補充した後、何か用事が出来たらしくそのまま忘れてしまったみたいです。その後、どの位ほったらかしだったのかわかりませんが、雨も降った事でしょう。

作動油に水が入った時の症状

古くなって劣化した作動油は色が黒ずんだ様になりますが、水が入った作動油は白濁してしまいます。

水分の凍結

真冬の除雪作業にも活躍していたのですが、ある時動作しなくなってしまいました。作動油の中の水分が凍結してしまい、オイルが回らなくなってしまったのです。私の家は標高1000m位の所にあるため、氷点下10度以下になる事もしばしばですし、氷点下15度を下回る事もあるのです。
肝心な時に動かないばかりか、油圧ポンプを破損してしまうかもしれません。

また、夏場であっても内部のサビの原因になってしまい、破損の原因になるかもしれません。

動作が緩慢

水が入ったオイルは粘度が落ちてしまうようです。全てにおいて動作がゆるいのです。坂道を登る時も、ブームを上げる時もズルズルと動く感じです。
また、オイルシールの劣化を早めたり、オイル漏れの原因にもなりかねません。

三菱のバックホウはハイドロリックオイル

早いとこ交換しないといけないと思いつつなかなか出来ませんでした。何しろ値段を調べたら20L入りのハイドロリックで5,000円位です。ME30は60リットル位入りますので単純に計算しても3缶必要です。

しかも、白濁したオイルが配管などに残るため、一度捨てただけでは綺麗にならないので5缶位必要になると思われました。

今回購入したのはJX日鉱日石のスーパーハイランド作動油 粘度32タイプ5缶です。

粘度は32と46がありますが、冬季間に氷点下15℃を下回る事もあるため、32を選びました。46の方が硬い物になります。

作動油の交換手順

1・給油口を開く
ボルトを外したところ、ゴム製のパッキンが痛んでいました。直径が大きくてすぐに手に入らなかったのでとりあえず上下逆さまにしてはめ直し、傷の部分はシール剤を塗っておきました。

2・作動油抜き
大抵タンクの下にドレンボルトがあるので回して外せば良いのですが、奥まったところにある上に、ボルトが大きいので回せる工具がありませんでした。
そこで、灯油用のポンプを持ってきて汲み出しました。

灯油と違ってドロドロのオイルを抜く作業です。なんと手間のかかる事か。根気よくあおって抜きました。

3・タンク内の清掃
やっとこタンク内の白濁したオイルを抜き終わると、タンクの底にゴミみたいな物が見えましたのでウエスを持ってきてきれいに拭き掃除を行いました。金属カスの沈殿した様な物です。
結構大量のウエスが必要でした。

4・作動油配管やホースの洗浄
新しい作動油1缶(20リットル)をタンクに入れてからエンジンをかけ、油圧装置を動かします。
※20リットルでギリギリ動作できます。
掘削、旋回、走行などの一通りの動作を行うと新しいオイルが行き渡り、配管などに残っていた白濁したオイルと混じってタンクに戻ってきます。もったいないけれどこの20リットルは捨てます。
灯油ポンプを使って汲み出します。

もう一度1缶(20リットル)をタンクに入れて動作させますが、まだまだ完全に綺麗にはなりません。本当にもったいないけど、もう一回汲み出して捨ててしまいます。

新しいオイルを入れて交換を終えました。

タンクの中に20リットルの作動油があればとりあえず動作しますが、少し傾斜になるとダメです。最低でも40リットル位は入れておかないといけません。(40リットルから60リットルは必要という事です。)
※作動油が少ない状態で無理に動かすと油圧ポンプを傷めますので充分な量を入れておきましょう。

5・作動油交換後の動作
新しいオイルになると動きがカチッとします。動作がキビキビです。ああっ!やっぱり違うなあ。
明らかに動作が違います。しっかりとします。

バックホウの作動油交換まとめ

1・水を含んでだ作動油は早めの交換を
冬場に凍結して動作できなくなったり、錆が出て油圧ポンプを傷めてしまいます。早めに交換しましょう。

2・白濁した作動油は一回ではきれいになりません。2回くらい新しいオイルで洗浄しましょう。

3・重機のメーカーにより使っているオイルが違います。
三菱の場合はハイドロリックオイルですが、コマツだとディーゼル用のエンジンオイルだったりします。サービスマニュアルや取説で確認するか、メーカーのホームページで確認してみてください。
古い機械の場合はメーカーに直接聞いてみると良いでしょう。

4・寒冷地は32を使うと良いでしょう
普通は46で良いそうですが、寒い地域で冬場にも使う場合は32を入れておけば良いでしょう。

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