小さな命

この時期、道路や通路に小鳥が落ちている事があります。

先日、奥さんの勤め先に学校帰りの小学生がやってきて「小鳥が落ちていたから助けてほしい。」と言って二羽の雛を連れてきたそうです。

残念ながら一羽はもう死んでしまっていたみたいです。

私が仕事が終わって家に帰ると一羽の雀の子がいました…。

もしも落ちている小鳥の雛を拾ったら

何とか助けてあげたいと思う気持ちは皆同じです。でも、野生の鳥なので人間の手で育ててしまうと自然の中には帰るのが難しくなってしまいます。

近くに巣がないか探す

出来る事なら落ちた巣に戻してあげるのが一番の方法です。近くに巣がないか探してみましょう。

親鳥が鳴いて探しているかもしれません。怪我が無くて助かりそうなら戻してあげるのが一番です。

もしも巣があったらそっと戻して立ち去りましょう。親元に戻すのが一番の方法です。

巣に戻せない理由

何とかして戻してあげたいのですが、戻せない時もあります。

外敵に襲われた

小鳥達の天敵といえば蛇です。襲われて巣が壊れていたり親鳥が逃げてしまっていたら戻せません。

カラスに襲われた場合、戻してもまた襲われる危険があります。

巣が見つからない

大きな鳥に襲われて連れ去られる途中だったり、落ちてから自分で動き回ってしまった時などは元の巣が近くにありません。その場合は戻せません。

巣に戻せない時は人間の手で助けてあげないと死んでしましますが、野鳥の雛の飼育は難しいです。

雛を助けるために行う事

今回、小学生が助けを求めて奥さんの職場にやってきたのは偶然なのですが、私は以前も巣から落ちた雀の雛を育てた事があるので何とか助ける事が出来るか?やってみる事にしました。

怪我の有無を確認

身体をよく見てください。高いところから落ちると怪我をしてしまいます。翼や足が骨折しているようならほぼ助かりません。あと、出血していたらダメかもしれないですね。内臓もやられちゃっているかもしれません。

家にやってきた雛は骨折は無いみたいですが、背中に少し出血があります。大丈夫かな?

身体を温めてあげる

身体が冷えて元気がありません。これはマズイ。あたためてあげないとこのままでは死んでしまいます。

まだ羽が生えそろっていない状態では体温が逃げてしまい、身体が冷たくなってしまいます。

巣にいるときは大勢で身体を寄せ合って暖かくしていますが、一羽になってしまうとそれができません。

巣から落ちた小鳥の保護てで保温

自分の手のひらをこすって温度を上げてから包んであげましょう。

巣箱を作って保温

少し元気になったので暖め係を子供達に交代してから緊急巣箱の作成に入りました。

用意したもの

・段ボールの箱(幅20cm深さ10cm位の箱です。)

・断熱材のカネライト。(白い発泡スチロールでも良いです。)

・小動物用の電気あんか(ヒナが丸裸の時や寒い時使います。以前インコの雛用に使っていたものがあったので使用しました。)

ヒナが大きくなった時にも冬場の暖房として使えますので一つあると便利です。

・なければ携帯用カイロで代用します。(温度管理に注意しないとかなり危険です。箱の隅っこに遠く置いて布で包んで雛が触れないようにします。)

・要らなくなったTシャツ (15cm位に切って雛を包んであげます。)

・温度計(雛のいる場所の温度を管理して30℃位に保ちます。)

緊急用巣箱の作り方

箱の中の寸法を測って断熱材をカットして箱にはめ込みます。

巣から落ちた小鳥の保護巣箱

電気あんかのコードが出るように箱に穴を開けてからセットします。

小鳥の保護緊急巣箱あんか入り

新聞紙を折って敷いてください。雛が直接あんかに触れないようにします。何となく鳥の巣みたいに丸くして真ん中が窪むようにしましょう。

雛をTシャツに包んで巣箱に移します。

巣から落ちた小鳥の保護保温

巣箱についてはインコの雛用の飼育セットも使えます。

巣材と給餌道具も付いています。ヒーターの上に箱をおけばほんのり暖かくもなります。

とにかくあたたかくしてあげましょう。

緊急的な雛の餌はゆで卵の黄身

私が雛を暖めている間に奥さんにゆで卵を作ってもらいました。出来たゆで卵の黄身の部分を小さくして雛に与えます。

ゆで卵が出来るまでの間身体を暖めてあげたら、か細い鳴き声が出るようになりました。よう〜し大丈夫。

細かくした黄身をピンセットで挟んで口元に持っていくと大きな口を開けました。

巣から落ちた小鳥の保護餌

ひとまず安心です。

水のやり過ぎに注意

のどが乾いているのではないかと思ってしまいますが、水のやり過ぎはいけません。下痢をしてしまいます。

ゆで卵のかたまりを4個〜5個食べたらスポイトで一滴口に入れてあげましょう。その位で大丈夫です。

水は一旦沸かした水道水を冷やしてから使用しています。

これで一晩過ごせれば何とか大丈夫かな。

本格的な餌は市販のすり餌で対応

自分で作る場合は、ご飯と小松菜と卵の黄身をすり鉢で潰して作るのですが、今回は市販のすり餌を買って対応です。

粉状になっていて水を加えて練るだけなので簡単です。

すり餌の作り方

・割り箸を割って先をカッターで削って細く平らにして角を丸めます。

巣から落ちた小鳥の保護餌

・スプーン一杯くらいをゼリーの容器などに取り出します。

巣から落ちた小鳥の保護餌

・スポイトで水を足しながら先ほど作った割り箸で練ります。

巣から落ちた小鳥の保護餌

耳たぶ位か少し柔らかめになるように練ってください。

巣から落ちた小鳥の保護餌

すり餌の与え方

割り箸の先にちょこっと乗せて、雛のくちばしに持って行くと大きな口を開きますので入れてあげましょう。

巣から落ちた小鳥の保護餌

この位のかたまりを4個〜5個入れてあげましょう。お腹いっぱいになれば口を開かなくなります。

※水は一旦沸かして冷ましたものをスポイトで一滴口に入れてあげましょう。あげ過ぎに注意です。

元気があれば大丈夫

一晩無事に過ごせれば一安心。すり餌を食べれるようならもう一安心。

温度管理は注意しましょう。雛のいる場所を触ってみてほんのり暖かい程度で大丈夫。そこに温度計を当ててからしばらく置いて30℃前後。

温度が高過ぎても低すぎてもダメです。

カイロを使うときは相当気をつけてください。雛から遠く離してください。何となく暖かい程度で充分です。

家に来てから8日目のスズメの雛

保護して一週間が過ぎた雛の様子を追記します。

スズメの雛8日目の比較

丸裸に近い状態だったのに羽が生え揃ってきました。手の上に乗っかってご機嫌な様子です。すり餌も一日分がスプーン一杯で足りていたのに、今ではスプーン三杯必要になりました。

本格的な餌は昆虫を与えましょう。

普通に親鳥に育てられているスズメや野鳥は何を食べているかというと昆虫です。なるべく自然に近い餌を与えるた方が良いので虫取りを行って食べさせています。

虫取り網で昆虫採集

まずは100円ショップなどで虫取り用の網を買ってきましょう。

その網で草むらに入って草をなぞるように振り回します。

小鳥の餌の昆虫採集

すると、小さいバッタなどが入ります。

小鳥の餌のバッタ

虫をピンセットに挟んで与える

網に入ったバッタなどの昆虫をピンセットに挟んで雛の口元に持って行けば大きな口を開けて食べます。

初めて虫を食べる時はちょっと戸惑った様な顔をしますが、これが本当の餌だよ。と言って少し奥まで押し込んであげましょう。

すぐに餌だと理解して喜んで食べる様になります。

ウンチの色の違い

すり餌を与えていた時のウンチの色は緑っぽい色でしたが、昆虫を与えると茶色っぽい色に変化します。異常ではありませんので大丈夫です。

だんだんと自然に近い餌と、すり餌を与える様にするのが理想ですが、昆虫が苦手という方は仕方ないのですり餌をあげてください。

だれか昆虫が平気な人にお願いしてみてもいいかもしれません。

雛は成長して手乗り雀になりました。

5月12日 家で保護して17日目。
雛の名前はピーちゃんといいます。家族みんなに可愛がられて飛べるようにまでなりました。

ピーピー泣いて餌をねだり、指を出すとぴょん!っと飛び移ります。お腹いっぱいになった後は家族としばらく遊びます。

指から腕に移って肩までジャンプ。時々頭にも登ります。

ここまで大きくなれば大丈夫。もう電気あんかも必要ありません。

一歳になったピーちゃん

あれから一年経ちました。何度か自然に返そうと試みましたが帰ってきてしまいます。一晩外泊したこともありますが、朝になると家の玄関の前で家族がドアを開けるのを待っていました。

結局一緒に暮らすことにしましたが、いつでも自然に帰ることが出来るようにしています。

ご覧ください。立派なスズメになりました。

ピーちゃんのその後

2017年秋、我が家の近くにいるスズメ達と仲良くなったみたいです。やっぱり仲間と暮らした方がピーちゃんも幸せでしょう。

元気にやっているかな。

動物用のアンカです。

すり餌です。

飼育セットがあれば楽です。給餌道具と巣材も付いています。

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